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2006年05月20日

富士山測候所を活用する会

静岡社会:2006年5月19日
 ・ 気象庁の平木哲長官の17日の定例会見。
 ・ 富士山測候所の有効活用を探る同庁設置の検討委について。
 ・ メンバーに、NPO法人「富士山測候所を活用する会」を加える。
 ・ 同施設の維持、管理の受け皿機関を目指して発足した同会。
 ・ 庁舎有効活用か、廃止(撤去)するか、できる限り早期に方向性をまとめたい考え。
 ・ 結論の目標時期などは明らかにせず。
 ・ 長官「NPOの考えをよくうかがい、検討を進めていく。測候所庁舎は国の持ち物であるから、(気象庁だけではなく)財政当局ともよく相談していただく必要がある」。
 ・ 検討委の昨年3月の中間報告:同法人や静岡、山梨両県などが提案している大気化学や高所医学などの「極地高所研究拠点」とすることを利用の第一候補。
 ・ 施設の管理主体が課題として残り、協議が停滞。
 ・ 同庁が政府に提出した公務員削減案
     今後5年間に御前崎など全国46カ所の測候所を原則廃止
 ・ 長官「サービスレベルが低下するものではない」

森玲子

赤富士やちやぷちやぷ波の寄り来たり

富士山の殺げしド−ムに垂氷かな

富士山を放れ湾に向ひし鷲一羽

遥かより水湧き来たる富士の冷

森田峠

雲を脱ぐ富士が見えそめ避暑放歩

見えねども富士へ向けたる避暑の椅子

上村占魚

利尻富士雪の裾野を海ぞこへ

よべの雪化粧ひて利尻富士泛ぶ

2006年05月19日

神田岩魚

裏富士の星の光芒鳴く夜鷹

大冨士の闇のふるへる虎鶫

紫式部

「源氏物語」(大島本・若紫)
「絵にいとよくも似たるかな。かかる所に住む人、心に思ひ残すことはあらじかし」とのたまへば、
「これは、いと浅くはべり。人の国などにはべる海、山のありさまなどを御覧ぜさせてはべらば、いかに、御絵いみじうまさらせたまはむ。富士の山、なにがしの嶽」
など、語りきこゆるもあり。


「源氏物語」(大島本・鈴虫)
火取りどもあまたして、煙たきまで扇ぎ散らせば、さし寄りたまひて、
 「空に焚くは、いづくの煙ぞと思ひ分かれぬこそよけれ。富士の峰よりもけに、くゆり満ち出でたるは、本意なきわざなり。講説の折は、おほかたの鳴りを静めて、のどかにものの心も聞き分くべきことなれば、憚りなき衣の音なひ、人のけはひ、静めてなむよかるべき」
など、例の、もの深からぬ若人どもの用意教へたまふ。


「源氏物語」若紫 (與謝野晶子訳)
「絵によく似ている。こんな所に住めば人間の穢(きたな)い感情などは起こしようがないだろう」
と源氏が言うと、
「この山などはまだ浅いものでございます。地方の海岸の風景や山の景色をお目にかけましたら、その自然からお得(え)になるところがあって、絵がずいぶん御上達なさいますでしょうと思います。富士、それから何々山」
こんな話をする者があった。また西のほうの国々のすぐれた風景を言って、浦々の名をたくさん並べ立てる者もあったりして、だれも皆病への関心から源氏を放そうと努めているのである。


「源氏物語」鈴虫 (與謝野晶子訳)
火入れがたくさん出されてあって、薫香(たきもの)をけむいほど女房たちが煽(あお)ぎ散らしているそばへ院はお寄りになって、
「空(そら)だきというものは、どこで焚いているかわからないほうが感じのいいものだよ。富士の山頂よりももっとひどく煙の立っているのなどはよろしくない。説教の間は物音をさせずに静かに細かく話を聞かなければならないものだから、無遠慮に衣擦れや起(た)ち居の音はなるべくたてぬようにするがいい」
などと、例の軽率な若い女房などをお教えになった。

森岡正作

春疾風富士に深手のありにけり

大根を抜くたび富士と目が遇ひぬ

森下草城子

朝のガラスに富士がきており暗し

2006年05月18日

測候所を今後5年間で原則廃止

中日政治:2006年5月14日
 ・ 全国46カ所にある測候所。
 ・ 政府の「行政減量・効率化有識者会議」に出した公務員削減案に明記。
 ・ 廃止に向け、問合せ対応、自動観測システムの導入などを促進。
 ・ 地域防災活動にも役割を果たしてきた測候所の全廃には、反対も出そう。
 ・ 46カ所は富士山、御前崎、松本、飯田、軽井沢、輪島、尾鷲など。
 ・ 46の測候所に関係する要員は現在計454人。
 ・ 観測システム導入による無人化などで338人を削減方針。

沼尻巳津子

五月五日全き富士と逢うて去る

西方に富士の山あり火を焚けり

かけがへなき一人の我茜富士

紅の暁ヶの喪礼富士は不二


沼尻巳津子について

森澄雄

蒼茫と春のはやてに富士かすむ

湖より裾をしぼりて春の富士

2006年05月17日

松村蒼石

小春富士ひと日かがやく兵と父に

松村幸一

いきなりや顔いつぱいに春の富士

松岡潔

エンデバー春雪の富士掠めけり

2006年05月16日

小林牧羊

初旅にして大いなる富士を見し

小林碧郎

雲表に富士立つ登路凍るなり

小林俊彦

寒菊にあさの大富士澄めりけり

小林康治

水霜に尿たらす富士覚めたれば

2006年05月15日

小林葭竹

またたびや大沢崩れ雲の中

北斎に無き冨士聳てりつちぐもり

小沢満佐子

雪解富士全し泉湧きつゞき

松浦其国

初富士や瑞山は未だ明けきらず

2006年05月14日

松澤昭

凩に富嶽百景抛りだす

富嶽冠雪へなへなと坐るなよ

小倉英男

羽衣の天女舞ひ来よ五月富士