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2007年07月05日

新田次郎

残雪の不二は真近し稲荷祭

富士を背にみどりしたたる妙法寺

2007年05月19日

新田祐久

豊年や往きも復りも富士を見て

2006年06月17日

如煙

大宮の朝立
清/\し不二に向ひし朝心

前々木といふ所にて
笠毎に朝露白き夜明哉

村山村の眺望
神の富士雲より上の高さ哉

夫より木立にかかりて
名も知れぬ木草の多し不二の裾

萱野にて
呼へは直く前て答へて夏野原

一合目にて鴬をきく
鴬もたしかに若し神の山

二合目にて
袖の下から雲湧きぬ富士の山

三合目にて全く草木なく 焼石原のみとはなりぬ
眼に障る物なし不二の三合目

四合目にて
ふもとにて雷なりぬ不二の山

五合目にて
夕立の下から来たり不二の山

六合目にて
雲霧を捉らへて見たり不二の山

七合目にて万代雪をかむ
不二崇し神代のまゝの峰の雲

これよりは一歩は一歩より 峻嶮となりゆきなか/\に 句作の余裕なし項上にて
暫らくは我より高き物はなし

こゝに至りて唯一身の無事 を祈る外一切の思決して邪なし
富士に来て神ならぬ人よもあらじ

※早稲田文学「俳句十四首」(1894)より

2006年06月16日

西本一都

秋色の南部片富士樹海より

短日や北見の国に北見富士

妻癒えよ一望に初富士初浅間

玲瓏と富士痩せ冬に入りにけり

坂ひとつのぼりて春の富士に逢ふ

2006年06月03日

西島麦南

青富士の裾のキャンプにめざめたる

2006年06月02日

西田浩洋

初旅の富士の白無垢たぐひなし

西村公鳳

寒晒富嶽大きく裏に聳つ

2006年06月01日

西村梛子

林檎咲く月夜を占めて津軽富士

西勝

富士ぞ雪盛り切飯に立つ煙

2006年05月27日

新村千博

ヂキタリス薄紫に富士の影

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2006年05月26日

西宇内

秋草や富士の水湧く池いくつ

2006年05月23日

新田郊春

初凪や雲を聚めて小さき富士

2006年04月10日

丹羽笑子

正月の雲すこし被て表冨士

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2006年04月06日

西山宗因

富士は雪三里裾野や春の景

さらし干す夏きにけらし不尽の雪

西尾テル子

赤富士もやがて紫夏の朝

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2006年04月05日

新倉矢風

登らんず富士真上より月照らす

2006年03月04日

新美南吉

日記から
「昨夜寝るまへにウイムパーの『アルプス登攀記』を読んでゐた。富士山のことが想い出された。しかも不思議なことに楽しい思ひ出として。生きてをれば又今年か来年の夏ゆく事が出来ると思つた。急に生きてゐることはこれだからいいといふ気持が動いた。」
(昭和15年2月9日の南吉の日記

※富士登山で詠んだ34句を選び、後日句集「ふじ」をまとめている。