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2006年05月13日

勝又一透

富士消えて空の濁れる春深し

朝の富士大きく生まれ梅の宿

凍蝶のたちたる籠に不二のこる

木枯のはるかなものに富士ひとつ

打ち晴れて富士孤高なる仏の座

成人の日の裏富士のうつくしき

初富士の汀の果てに立てりけり

枯萱の山ふかく来て富士に会ふ

夕富士の消ぬべくありぬ花瓢

大富士の愛のごとくに大泉

ちちははの朝寝の富士の美しく

大冨士にひれ伏す軒端寒晒

ふるさとの不二かゞやける薺かな

小川濤美子

ふれんとし花も剌持つ富士薊

2006年05月12日

小西藤満

菜の花や海よりかげる薩摩富士

小山森生

裏富士や男に憑きし碧揚羽

渋谷松月

描きかけてありし画板の皐月富士

2006年05月11日

勝亦年男

影富士の及ぶ花野の県境

冷し瓜富士の真清水戸々に湧き

勝俣のぼる

初富士の紅さしそめて町の上

市丸利之助

紺青の駿河の海に聳えたる
  紫匂ふ冬晴れの富士

垂れこめし雲中腹に凝結し
  忽ち白く抜けいづる富士

夕靄の伊豆を包みて海原も
  富士も縹に冬の日暮れぬ

野も山も包み了りて春霞
  包みあませる富士の白雪

厩にして富士ははるかに遠ざかり
  機は一文字南の島

2006年05月09日

酒井絹代

いまさらに富士大いなり初御空

萱刈の声とばしけり富士颪

芒野に富士も全し今日の月

種市清子

冬の日や富士を残して落ちにけり

手島知韶

山開き遅るる富士の残り雪

手島靖一

富士と我隔つものなき初明り

この岨の富士細身なり風露草

手塚美佐

絵日傘に触るる親しさ秋田富士

若林つる子

蓴生う富士の伏流水ぞんぶん

2006年05月08日

吉田口8合目で滑落死

読売社会:2006年5月3日
 ・ 3日13時半ころ、山梨県側の8合目付近で男性が滑落。
 ・ 登山者が目撃、110番通報。
 ・ 県警のヘリで病院へ運ばれたが、頭などを強く打っており、午後5時ころ死亡。
 ・ 富士吉田署で身元確認中。
 ・ 70歳前後で、単独登山とみられる。

朝日山梨:4日
 ・ 3日、登山客の滑落が相次ぐ。
 ・ 午後4時20分過ぎ、7合目付近でスキー男性が滑落。
     スキー客から110番。
     約1時間後、県警ヘリ「はやて」で救出。
     顔などにけが。病院へ。
     藤沢市の藤沢さん(33)。
     現場はアイスバーン状態だった。
死亡の男性 身元を確認 富士山・滑落事故

朝日山梨:5日
 ・ 4日、亡くなった男性は流山市の松田さん(69)と確認。
 ・ 松田さんは登山が趣味、富士山も数回登頂経験。

山日富士山:4日
 ・ 死亡事故:当時、晴天で風もほとんどなし。積雪はあり。
 ・ けが:
    同僚と2人でスキー滑走中にアイスバーンに足を取られて滑落。
    同僚とはぐれ、別の登山者が発見通報。
 ・ 富士吉田署:今シーズンの富士山遭難は、今回の2件を含めて計4件。死者2人、負傷者2人。

秋元不死男

富士爽やか妻と墓地買ふ誕生日

梳きはじめ鏡台の富士傾けて

冬蜂の尻てらてらと富士の裾


秋元不死男

秋山牧車

富士真白諸君も髯を剃れという

秋元大吉郎

丸みぐせ伸ばす富嶽のカレンダー

2006年05月07日

車谷弘

富士みえる筈のあたりの朝曇

柴田白葉女

日の讃歌富士はつ秋の山容ち

柴田奈美

讃岐富士聳え晴天高うする

篠田悌二郎

初富士の玲瓏巨き創あをし

篠原梵

富士の孤の秋空ふかく円を蔵す

富士暮れしそば金縁の雲うかぶ

松の間に真白き富士のどこかが見ゆ

富士茜真紅の冬日しづみければ

赤き富士朝霧の上の山の上に

富士の肩棚雲よりも夕焼濃し

富士を見に芽ぶきし木々をぬけてゆく

若山すみ江

富士講の御師の胡座やあをふくべ