« 小川濤美子 | メインページへ | 小倉英男 »

勝又一透

富士消えて空の濁れる春深し

朝の富士大きく生まれ梅の宿

凍蝶のたちたる籠に不二のこる

木枯のはるかなものに富士ひとつ

打ち晴れて富士孤高なる仏の座

成人の日の裏富士のうつくしき

初富士の汀の果てに立てりけり

枯萱の山ふかく来て富士に会ふ

夕富士の消ぬべくありぬ花瓢

大富士の愛のごとくに大泉

ちちははの朝寝の富士の美しく

大冨士にひれ伏す軒端寒晒

ふるさとの不二かゞやける薺かな