« 2006年05月 | メインページへ | 2006年07月 »

2006年06月30日

大須賀乙字

富士暮るゝ迄夕汐を浴びにけり

神棚に代へて初富士拝むなり

富士の下一八の咲ける小家かな


「山梨県立日川高校 校歌」
○天地の正気甲南に
 籠りて聖き富士が根を
 高き理想を仰ぐとき
 吾等が胸に希望あり

※4番あるうちの1番
※作詞大須賀乙字/作曲岡野貞一

大場白水郎

富士見せてしめし障子や冬の蝿

富士かけて梅雨明け雲の深さかな

2006年06月29日

大橋敦子

初富士木花之開耶姫に礼

初富士の自負に陰翳ありにけり

勁さうな虻を引き寄せ富士薊

初御空富岳まさしく三保にあり

大橋越央子

初富士赤富士なりしめでたさよ

五月富士甍の空にかくれなし

2006年06月28日

大久保たけし

筆初め土牛の富士を仰ぎけり

※この方の情報を教えてください!

対馬康子

雪冠の富士の徹頭徹尾なり

冬富士や握りつぶせし紙コツプ

2006年06月27日

太田嗟

陸の富士海の富士見て年新た

村上辰良

風凪ぎて富士の新雪輝かす

2006年06月26日

村上光子

湯の窓に富士の全き避寒かな

村松ひろし

これやこの富士の裾野のをとこへし

2006年06月25日

村山古郷

黍ほして富士の裾野の貧しき村

朝の間は横雲を置きて五月富士

村越化石

秋蚊帳の干さるるみどり天に富士

白露やまみえし富士のおん姿

2006年06月24日

相生垣瓜人

雲行きて初富士に著くこともなし

起し絵のけはしき富士の聳えけり

裏富士を傾き出でて炭車

宗左近

「市川賛歌(透明の芯の芯)」
○夕焼け おお 生命が炎える
 市川 夢の常夜燈
 舞う 縄文の蛍たち
 少女の乳首の尖きに富士とがり
 恋の継ぎ橋に立ちすくむ若者の瞳に
 どんな鳥が歌ってくれなかったろうか
 幸福より長い永遠はありはしないと
 市川 炎える生命
 常夜燈の夢
○曙 いま 世界が垂直
 市川 芯の芯の透明
 はばたく 虹の風たち
 恋の継ぎ橋を渡る若者の瞳に
 尖りはじめる少女の乳首の富士
 どんな光が祝ってくれないだろうか
 永遠と瞬間の沸りあう今こそが未来と
 市川 垂直が世界
 透明の芯の芯
※作詞宗左近/作曲三善晃
※3番あるうちの1番と3番

※2006年6月23日までに死去されたとのこと(6月23日報道)。ご冥福をお祈りします。

2006年06月23日

倉内法子

からつ風吹きて黒富士くつきりと

倉田素香

初富士に牝馬は四肢を揃へけり

2006年06月22日

前田普羅

慈雨晴れて色濃き富士へ導者かな

苗床やびようびようと鳴る富士颪

濛雨晴れて色濃き富士の道者かな

吉田素抱

いないいないバァを決め込む梅雨入富士

春光をやはらかに投げ利尻富士

利尻富士眼鏡の球の雪解冷え

利尻富士顱頂を覆ふ雪解靄

春光を鈍く放てる利尻富士

利尻雪富士望遠レンズに納むべく

梅の上に聳ゆ富嶽も相模ぶり

2006年06月21日

前川伊太郎

水澄むや湖に裾ひく逆さ富士

※この方の情報を教えてください!

2006年06月20日

浅羽緑子

初御空おのがひかりの中の富士

青富士や松の秀に鳴く茅くぐり

富士ふつと立つ草木瓜の返り花

小寒の夕映富士をのぼりつむ

軒菖蒲青き切つ先富士を指す

富士疎林三光鳥の声わたる

富士樹海森林浴の深息す

小寒の夕映富士をのぼりつむ

浅井一志

大いなる富士を入れたり青葉闇

2006年06月19日

川本朋紘

富士うつし富士の伏流水冷ゆる

※この方の情報を教えてください!

川田蛎雪

初雪の富士を車窓に眺めつゝ

※この方の情報を教えてください!

2006年06月18日

川端茅舎

初富士や石段下りて稚児ケ淵

野分跡暮れ行く富士の鋭さよ

川村紫陽

芦枯れて富士逆富士ひかり合ふ

裏富士に雲のたてがみ雪来るか

花浅沙富士より青き逆富士

桐の花富士と大空頒ちけり

富士に身を乗り出して松手入れかな

見馴れゐて見飽かぬ富士や初霞

天空に白妙の富士磯遊び

追羽子に富士より高き天のあり

左富士野川曲れば稲架曲がる

疾風富士水中芦の芽の育ち

梅林の山越しの富士小さかり

2006年06月17日

川口重美

傾ぐ冬富士人轢きし汽車動きそむ

如煙

大宮の朝立
清/\し不二に向ひし朝心

前々木といふ所にて
笠毎に朝露白き夜明哉

村山村の眺望
神の富士雲より上の高さ哉

夫より木立にかかりて
名も知れぬ木草の多し不二の裾

萱野にて
呼へは直く前て答へて夏野原

一合目にて鴬をきく
鴬もたしかに若し神の山

二合目にて
袖の下から雲湧きぬ富士の山

三合目にて全く草木なく 焼石原のみとはなりぬ
眼に障る物なし不二の三合目

四合目にて
ふもとにて雷なりぬ不二の山

五合目にて
夕立の下から来たり不二の山

六合目にて
雲霧を捉らへて見たり不二の山

七合目にて万代雪をかむ
不二崇し神代のまゝの峰の雲

これよりは一歩は一歩より 峻嶮となりゆきなか/\に 句作の余裕なし項上にて
暫らくは我より高き物はなし

こゝに至りて唯一身の無事 を祈る外一切の思決して邪なし
富士に来て神ならぬ人よもあらじ

※早稲田文学「俳句十四首」(1894)より

2006年06月16日

湖伯

富士見えていよ/\朧月夜かな

※早稲田文学の俳諧六首(1894)から

西本一都

秋色の南部片富士樹海より

短日や北見の国に北見富士

妻癒えよ一望に初富士初浅間

玲瓏と富士痩せ冬に入りにけり

坂ひとつのぼりて春の富士に逢ふ

2006年06月15日

越中おわら節(長囃子)

○越中で立山 加賀では白山
 駿河の富士山 三国一だよ
 <ハヤシ>
 唄われよー わしゃはやす

※一部

鳥海山の歌

○ここのお山は あずま一
 出羽富士の名ある 鳥海よ
 峰に白雪 白雪や
 夏でも 消えやせぬ
 夏でも消えぬ

※2番もある
※作曲/土方達男

※作詞者を教えてください!

2006年06月14日

加賀千代(千代女・千代尼・素園)

名月や何所までのばす富士の裾

富士の笑ひ日に日に高し桃の花

うぐひすや声からすとも富士の雪

富士はまだ水に明るし初がすみ

赤木格堂

初富士や浪の穂赤き伊豆相模

焼土にずり込む杖や富士詣

2006年06月13日

赤堀五百里

夕富士に夏蚕終ひのまぶし干す

赤城さかえ

白菜括る夕べは富士の現つ気配

富士夕焼父の言ひたきこと知りつゝ

2006年06月12日

赤松けい子

富士の根に眠りかなしむ山幾重

裏富士に天の一太刀鳥かへる

湖べりに富士を見惜しむ夕焚火

菜の花や坊主坐りに讃岐富士

※「けい」の漢字が難しい。

2006年06月11日

石嶌岳

白玉や一日富士を目の前に

初富士や箔一枚を置くごとし

石塚友二

富士颪まともに刈田鴉かな

2006年06月10日

石川青幽

夜を青く富士しづもりて魂まつり

石川英利

初富士の大きく見ゆるところまで

2006年06月09日

石原八束

露の彩動き赤富士現じけり

石原透

初刷や富士を二つに折りたたみ

2006年06月08日

石橋辰之助

柴漬や夕富士夙に見失ふ

石丸恭子

大富士を視野いつぱいに袋掛

2006年06月07日

石井健作

ふらここのあるとき富士を足蹴にす

富士山学校・科学講座

東京科学:2006年6月6日
 ・ 日時:6月15日16〜18時
 ・ 場所:新宿区西新宿6、新宿アイランドウイング7階
 ・ 内容:
   プロスキーヤー三浦雄一郎さんの講演
   「エベレストへかける夢−究極のアンチエイジング」
   浅野勝己筑波大名誉教授
   「山登りの健康への効用」
 ・ 主催:NPO法人「富士山測候所を活用する会
 ・ 7月以降、測候所の現地見学も計画。
 ・ 問い合わせ:同会東京事務局。03・3265・6701。

石井とし夫

初富士や宗吾の渡舟波立たず

富士山測候所を活用する会シンポ

中日静岡:2006年5月28日
 ・ 富士山測候所について元所長らが話し合うシンポジウム
 ・ 26日夜、東京都内で開催。
 ・ 研究拠点としての活用に期待する声が相次ぐ。
 ・ 市民や関係者ら約110人が参加。
 ・ 1973年に建替えた庁舎の工事責任者だった伊藤庄助さん(73)
 ・ 元所長の福島晨次さん(63)、手塚正一さん(63)
 ・ 伊藤さん「新幹線を造っている工場の中でアルミ(合金)の建物を造った」。
 ・ 福島さん「器(建物)は確かに丈夫だが、送電線はもう更新しなければならない時期に来ている」。
 ・ 手塚さん「研究者には五年、十年計画で終わりではなく、長く使ってもらいたい」。
 ・ 伊藤さん「大自然の中で多方面にわたって研究することはすばらしい。観測タワーとして成果を期待している」。

2006年06月06日

斉藤夏風

筒鳥やさはに峯反る暁の富士

佐野青陽人

こゝに踏む初富士の裾しろ/\と

2006年06月05日

山口青邨

初富士のかなしきまでに遠きかな

蕗の薹傾く南部富士もまた

くらがりに富士の図白し更衣

南部富士近くて霞む花林檎

南部富士けふ厳かに頬被り

こほろぎの漆光りの富士額

白菊は富士新雪を前に光る

稲雀むらがり飛んで富士を覆ふ

いろがみを貼りたる富士ぞ夕桜

初富士の朱の頂熔けんとす

木槿咲く籬の上の南部富士

上島鬼貫

にょっぽりと秋の空なる富士の山

雲や匂ふ海も桜も富士の枝

富士の雪我津の国の生れ也

雪で富士不盡(ふじ)にて雪か不二の雪

その秋の覚えはなかば富士の空

富士は雪は花一時の吉野山

八雲立つ京に秋立つ富士にたつ

行く秋やむかしをからで富士ひとり

秋立や富士を後ろに旅帰り

いつもながら雪は降りけり富士の山

塩尻は富士のやうなる物ならん

わすれめや富士こす心夏の雪

秋の日や不二の嶺変(てへん)の朝朗

2006年06月04日

青木よしを

富士新雪落葉松の金厚くなる

北村西望

卯木垣や富士ではあらで枝折山

2006年06月03日

西東三鬼

梅雨富士の黒い三角兄死ぬか

ばら色のままに富士凍て草城忌

大寒の富士へ向つて舟押し出す

新年を見る薔薇色の富士にのみ

富士高く海低し秋の蝿一匹

素手で掻く岩海苔富士と共に白髪

西島麦南

青富士の裾のキャンプにめざめたる

2006年06月02日

西田浩洋

初旅の富士の白無垢たぐひなし

西村公鳳

寒晒富嶽大きく裏に聳つ

2006年06月01日

西村梛子

林檎咲く月夜を占めて津軽富士

西勝

富士ぞ雪盛り切飯に立つ煙