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上島鬼貫

にょっぽりと秋の空なる富士の山

雲や匂ふ海も桜も富士の枝

富士の雪我津の国の生れ也

雪で富士不盡(ふじ)にて雪か不二の雪

その秋の覚えはなかば富士の空

富士は雪は花一時の吉野山

八雲立つ京に秋立つ富士にたつ

行く秋やむかしをからで富士ひとり

秋立や富士を後ろに旅帰り

いつもながら雪は降りけり富士の山

塩尻は富士のやうなる物ならん

わすれめや富士こす心夏の雪

秋の日や不二の嶺変(てへん)の朝朗