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市丸利之助

紺青の駿河の海に聳えたる
  紫匂ふ冬晴れの富士

垂れこめし雲中腹に凝結し
  忽ち白く抜けいづる富士

夕靄の伊豆を包みて海原も
  富士も縹に冬の日暮れぬ

野も山も包み了りて春霞
  包みあませる富士の白雪

厩にして富士ははるかに遠ざかり
  機は一文字南の島