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2006年03月11日

加藤巧

お中道夏霧が来てかきしけり

※Who is him?

粟津松彩子

大富士に引き寄せられて天の川

加藤岳雄

笠雲をすこし阿弥陀に皐月富士

綾部仁喜

ちかぢかと富士の暮れゆく秋袷

下鉢清子

野分晴富士五合目を馬歩き

岡本百合江

凛々と夜空を占めて涅槃富士

傾ぎつつ芽吹く潅木お中道

岡入万寿子

峠路にまざと大富士鳥帰る

塩田丸男

春富士を真っ正面に野糞かな

塩川雄三

富士山を閉づ火祭の火を連ね

高澤良一

いないいないバァを決め込む梅雨入富士

うち霞む富士三月の雑木のうへ

ゲテモノにして錦秋の球子富士

げんげ田やけふよく見えて富士の方

この向きの夏秋田富士よかりけり

さきざきに富士を眩しむ旅始め

サロベツの花咲く前の利尻富士

そこに見ゆ富士傾けて案山子翁

たちまち霧たちまち霽れて富士裾野

ハルジオン富士も薄紅帯びて聳つ

やっかいな正月の富士詠み初めに

羽衣の松越しに見る湯屋初富士

花に逝く富士を心の観世音

花過ぎの汝の墳富士が其処にあり

霞む中ふなばたよぎる利尻富士

海上に雪化粧して利尻富士

柿若葉皆富士に向く家のむき

柿若葉富士がありあり見ゆる日よ

冠雪の富士の高みに宿木も

冠雪の富士は野梅の空つづき

冠雪富士球子はいつも前向きに

干蒲団富士の白妙差しにけり

間引かれて明るさ半減富士桜

忌を修す弥生の富士のお膝元

啓蟄のぽこんと不二の佇つ遠野

厚雲に首を突っ込む文月富士

郊外に出て一月の風の富士

酷評に球子怯まぬ冠雪富士

酷評に怯まぬ錦秋球子富士

三浦富士登りてくてくつつじ季

三浦富士登山地獄の釜の蓋

三月は不二を遠目の霞み月

讃岐富士うどん腹もてあほぎけり

讃岐富士青麦畑侍らせて

枝豆を植えに植えたり秋田富士

七種の富士はすずしろ色をして

秋麗冨士頭を雲の上に出し

淑気立つ穹見渡して富士の位置

粛々と雲を募らせ睦月富士

春の雲一つぽっかり讃岐富士

春霞富士はうたたね決め込めり

春光に陵折り畳み利尻富士

春光に襞の浮き彫り利尻富士

春光をやはらかに投げ利尻富士

春光を鈍く放てる利尻富士

春夕焼け聳たする(たたする)富士のシルエット

初景色出来過ぎ富士を遠ちに置き

初御空妻は格別富士が好き

昌平坂正月富士の晴れ姿

水っ洟日の落ち際の富士を撮る

水仙に富士を配せる入賞作

青田の上日本一の津軽富士

雪解の最中の利尻富士眩し

雪解靄お顔隠るゝ利尻富士

雪嶽の富士風を切る雑木の枝

銭湯のブリキ板絵に雪の富士

銭湯の富士に長居の小晦日

銭湯の富士の淑気を浴ぶ男女(なんにょ)

早苗の上農兵節の富士現るる

窓に富士膝に初刷手に眼鏡

大寒の富士へ真向かふ尾根筋道

大空へ海猫を吹き上げ利尻富士

鷹の羽もって鷹とす一富士圖

朝富士もげんげも淡く宿発ちぬ

底冷えの富士より冷えを貰ひけり

梯子乗富士へ乗り出す膝八艘

田は展け富士の横雲げんげいろ

田蛙のかいかい富士も貌を出す

冬凪の富士が見えるぞほらあそこ

冬薔薇妥協なき色不二の白

東海道白妙の富士皮切りに

豆腐作りに富士の湧水はんぱじゃない

椴松へ利尻富士より雪解風

汝の恃みし花過ぎの富士空にあり

白隠一富士二鷹三茄子

白妙の富士に瑕瑾といふ言葉

八月の富士に向ひて釣り糸垂る

八重桜花房重う富士を据え

飛花は飛雪然ととびたり花は富士

富士に向く湯宿げんげ田前にして

富士講衆汗して高輪大木戸圖

富士臨む畦の春草照り強め

富士颪ありしや梛の春落葉

片岡球子ドカンと冠雪富士を置く

湧いてくる富士の真水に水草生ふ

湧水と汝が奥津城と富士桜

利尻雪富士望遠レンズに納むべく

利尻富士だんだんしさる雪明り

利尻富士眼鏡の球の雪解冷え

利尻富士高みうろつく雪解靄

利尻富士春さきがけの十六景

利尻富士真白に春光恰しや

利尻富士裾野に数戸春の家

利尻富士裾野青霞に突っ込みて

利尻富士呆と仰げば頬撫づ東風

利尻富士頬切る風に春遅し

利尻富士面を厳しく座禅草

利尻富士塒に春の明烏

利尻富士皚々客船真っしぐら

利尻富士顱頂を覆ふ雪解靄

流鏑馬の馬首めぐらすに冠雪富士

麗らかな容灸まん讃岐富士

恋すてふをみなの猫の富士額

櫟の芽霊峰富士に懸け連ね

雉子となり富士の裾野を啼き渡れ

榎本虎山

雪解富士水車しぶきを宙にあげ

碓氷すすみ

近づけば富士は石ころ秋あざみ

雨宮きぬよ

梅雨明けの裏富士のこの男貌

稲畑汀子

富士の山青く裾引く夏の空

秋燕の富士の高さを越えにけり

赤富士の片鱗を見て足らへしと

伊藤信徳

富士に傍て三月七日八日かな

伊藤松宇

真ん中に富士聳えたり国の春

伊藤春男

笠雲の笠をずらして秋の富士

伊藤郁男

冬麗の富士中腹の雪煙

安藤明子

月夜富士見むとテラスに出て来たる

安藤八木郎

黒富士といふ大きさの夏野かな

愛須真青

鮎釣に雲はらひ聳つ紀州富士

阿部みどり女

大銀杏騒げる窓に夏の富士

きちせあや

赤富士の面険しき登山口

阿部完市

雲と歌撒き富士の裾野を逃げまわる

石楠花は富士の夕の色に咲けり

阿部完市

阿波野青畝

初富士を隠さふべしや深庇

赤冨士の雲紫にかはりもし

富士淡し松虫草の花の上

阿波野青畝

伊藤白潮

赤人の詠みし火の富士いま雪解

腰の鈴よく鳴ることよ富士導者

伊藤白潮について

2006年03月10日

大田垣蓮月

「海人の刈藻」
白雲のなかばになびく富士のねをうづむや春の霞なるらむ

函根山あけなば富士のかげ見むと思ひしうみは冰ゐにけり

大田垣蓮月について

深草元政

「草山和歌集」
便りあらば清見がせきも富士の嶺もかくながめきと人につげこせ

深草元政について

浅井了意(淺井了意)

「東海道名所記」
三嶋と富士とは、親と子の御神なり、富士権現には木花開耶姫なり。三島は御父の神にてオハシましけり。竹取の物語にかぐや姫とかきしハ、後の世の事にやあるらむ。三嶋と申すハ、伊予・摂津・伊豆の三所におハしますよしを、延喜式の神明帳にのせたり。

さて本町に入りて見れば、隔子かうしの中には、金屏風はしらかし、たばこ盆に眞刻(しんきざみ)、匂ひたばこなんど、金銀のきせるとりそへ、池田炭を富士灰に埋み、時々伽羅、梅花、侍從なんど、おぼろにくゆらかし、打しめりたる三味線の音引いて、さすがにかしましからず。

山辺赤人

田子の浦にうち出でて見れば白妙の富士の高嶺に雪は降りつつ

東條耕子藏

「先哲叢談續編」

<松浦霞沼>から
芳洲が橘窗茶話に云く、霞沼余と同じく雉塾に寓す、我より少きこと八歳なり、最も成翠虚が富士山を賦する、空に浮ぶ積翠煙鬟を開く(浮空積翠開煙鬟)の句を喜び、吟賞して已まず、

<田中邱愚>から
相の酒匂川は、百川を會同し、東海に入る、富士・箱根其南に鎭し、大岳舟山其北に連なる、實に關中の襟帶、海東の咽喉なり、寶暦己亥の冬、富士山東南の隅、土中火を發し、砂礫數百里に飛ぶ、蓋し硫黄の氣の釀す所なり、其災傷の及ぶ所、關東八州の地、青草を見ざる者數百里、深き者は驤丈、淺き者は盈尺、武相の間、焦土最も甚だし、酒匂川遂に壅く、其後比年大水、○防悉く決す、故を以て居民流亡する者、此に二十年、朝廷方に水を治むる者を求め、以て生民の爲に利を興し害を除かんと欲す、

<高芙蓉(大島芙蓉)>から
芙蓉は富士山に登ること、前後三次、幽を探り勝を窮めて、自ら山嶽の眞景を寫し、百芙蓉圖と曰ふ、是より先き、未だ此擧をなす者あらず、後人富士を畫く者、多く皆之に據る、此より後、別に中嶽畫史と號す、

賀茂真淵

「にひまなび」 (邇比麻那微)
赤人の歌の詞は、吉野川如なすさやに、心は富士の嶺ねのごと、準よそり無く高し。人麻呂とは天地の違ひ有れど、共に古の勝れたる歌とせり。是等より前に、此の人々より勝れたる言も有れど、詠み人の名の聞えぬはこゝに云はず。

紀貫之

しるしなきけふりを雲にまかへつゝ夜をへてふしの山ともえなん
※新古今和歌集1008


「古今和歌集」(校註國歌大系)序
しかあるのみにあらず、さゞれ石にたとへ、筑波山にかけて君を願ひ、よろこび身にすぎ、たのしみ心にあまり、富士の煙によそへて人をこひ、松蟲のねに友をしのび、高砂住の江の松もあひおひのやうに覺え、男山の昔を思ひ出でて、女郎花の一時をくねるにも、歌をいひてぞなぐさめける。又春のあしたに花のちるを見、秋の夕暮に木の葉の落つるを聞き、あるは年ごとに鏡の影に見ゆる雪と波とを歎き、草の露、水の沫を見て、我が身をおどろき、あるは昨日は榮えおごりて、時を失ひ、世にわび、親しかりしも疎くなり、あるは松山の波をかけ、野中の水をくみ、秋萩の下葉をながめ、曉の鴫のはねがきをかぞへ、あるは呉竹のうきふしを人にいひ、吉野川をひきて世の中をうらみきつるに、今はふじの山も煙たたずなり、長柄の橋もつくるなりと聞く人は、歌にのみぞ心をなぐさめける。

2006年03月09日

スペイン人が滑落死

日刊スポーツ:2006年3月8日
 ・ 8日昼前、下山した登山者が宿泊先のホテルを通じ富士吉田署に通報。
 ・ 「スペイン人パーティーの仲間が滑落した」
 ・ 午後2時20分ごろ、県警のヘリコプターが男性の遺体を6合目付近で発見、収容。
 ・ マドリード在住の会社員、エンリケ・エビア氏(40)。全身を強打、即死の模様。
 ・ 5日に来日、6日にスペイン人の仲間4人と登山を開始。
 ・ 7日に登頂、下山中の午後3時半ごろ、8合目付近から7〜800メートル滑落。
 ・ 冬山経験は豊富、しかし左右のアイゼン同士が引っ掛かり転倒した模様。

読売山梨:7日
 ・ 8合目の下山道から約800メートル下の地点で発見。
 ・ エンドリケ・エビア氏。
 ・ 6日に入山。6日はビバークし、7日に登頂。
 ・ 富士吉田署によると、4合目以上はこの時期、雪が凍りついてアイスバーン状態になっており、非常に滑りやすい。
 ・ 5人は冬山経験が豊富で、装備も万全だったという。
 ・ 富士山の遭難事故は今シーズン初。昨シーズンは2件発生、2人死亡。

2006年03月08日

磯貝碧蹄館

腕二本振りて歩めば二月富士

外套を脱ぐバルザック富士が立つ

五百木瓢亭

五月晴の富士の如くにあらせられ

※五百木瓢亭(いおぎひょうてい)

2006年03月07日

平畑静塔

星月夜われらは富士の蚤しらみ


平畑静塔について

藤村克明

富士のけふ力を抜きて田螺和

藤井大渓

初富士や光顔巍巍を拝まるる


※本名「為五郎」

ヤス一番? HIDDEN FISH

「宿なし」より
○ところでここ何処今何時?
 「朝の9時だって?」「見てみやー富士だって!」
 このままじゃ仕事無理やっベー
 名古屋に到着が12時やで

※ヤス一番? HIDDEN FISH作詞
 ノリ ダ ファンキーシビレサス DJ MITSU作曲
 nobodyknows+唄

吉野寿

「ドアを開ける俺」より
○街は入り日の雨上がり
 また静かに燃え立つ富士の山
 なんて豪華な夕焼けなんだろう
 だってそうだろ? なあ そうだろう?

※吉野寿作詞作曲/eastern youth唄

降谷健志

「Aim High」より
○見てな 富士のふもとから
 Risin' sun すべて真っ赤に 燃やすくらいにさ
 外人さんも 吹っ飛ぶ パニックさ
 いざ 戦の煙だ Burnin' sun

※降谷健志作詞作曲/Dragon Ash唄

児玉花外

「明治大学校歌」より
霊峰不二を仰ぎつつ
 刻苦研鑽他念なき
 我等に燃ゆる希望あり
 いでや東亜の一角に
 時代の夢を破るべく
 正義の鐘を打ちて鳴らさむ
 正義の鐘を打ちて鳴らさむ

※児玉花外作詞/山田耕筰作曲

伊藤アキラ

「きた!きた!とっきゅう」より
○おだきゅうあさぎり ふじさんみえた
 とうぶスペーシア こしつでパーティー
 きんてつとっきゅう アーバンライナー
 めいてつとっきゅう パノラマスーパー

※伊藤アキラ作詞/勝誠二作曲/窓花さなえ唄

原譲二

「次郎長富士」より
富士を見上げた男の顔に
意地と度胸という文字が
きざみ込まれたいい男

※原譲二作詞作曲/北島三郎唄

中谷純平

「おんな富士」より
ヨッシャ!! めざす人生おんな富士

ヨッシャ!! 賭けた人生おんな富士

ヨッシャ!! のぼる人生おんな富士

※中谷純平作詞/三島大輔作曲/水前寺清子唄

ピエール瀧

「富士山」より
富士山富士山 高いぞ高いぞ富士山
富士山富士山 高いぞ高いぞ富士山
富士山富士山 まだまだいけるぞ富士山
富士山富士山 雲より高いぞ富士山
富士山富士山 富士山富士山

※Pierre Taki作詞作曲/電気グルーブ唄

森川幸雄

「愛国行進曲」より
○見よ東海の空開けて
 旭日高く輝けば
 天地の正気溌溂と
 希望は躍る大八洲
 おお晴朗の朝雲に
 聳ゆる富士の姿こそ
 金甌無欠揺ぎなき
 わが日本の誇りなれ

※森川幸雄作詞/瀬戸口藤吉作曲
※3番あるうちの1番

2006年03月06日

永井荷風

物干に富士やをがまむ北斎忌


「日和下駄」
東京の東京らしきは富士を望み得る所にある。われ等はいたずらに議員選挙に奔走する事をもってのみ国民の義務とは思わない。われ等の意味する愛国主義は、郷土の美を永遠に保護し、国語の純化洗練に力むる事をもって第一の義務なりと考うるのである。