« 山辺赤人 | メインページへ | 深草元政 »

浅井了意(淺井了意)

「東海道名所記」
三嶋と富士とは、親と子の御神なり、富士権現には木花開耶姫なり。三島は御父の神にてオハシましけり。竹取の物語にかぐや姫とかきしハ、後の世の事にやあるらむ。三嶋と申すハ、伊予・摂津・伊豆の三所におハしますよしを、延喜式の神明帳にのせたり。

さて本町に入りて見れば、隔子かうしの中には、金屏風はしらかし、たばこ盆に眞刻(しんきざみ)、匂ひたばこなんど、金銀のきせるとりそへ、池田炭を富士灰に埋み、時々伽羅、梅花、侍從なんど、おぼろにくゆらかし、打しめりたる三味線の音引いて、さすがにかしましからず。