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伊藤左千夫

不士の野に五里をめくりつ水海の沖にはこやの山を見にけり
久方の三ケ月の湖ゆふ暮れて富士の裾原雲しづまれ


「野菊の墓」
茄子畑というは、椎森の下から一重の藪を通り抜けて、家より西北に当る裏の前栽畑。崖の上になってるので、利根川は勿論中川までもかすかに見え、武蔵一えんが見渡される。秩父から足柄箱根の山山、富士の高峯(たかね)も見える。東京の上野の森だと云うのもそれらしく見える。