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横井也有

富士はたゞ袴に着たる錦かな


「摺鉢伝」
備前の国にひとりの少女あり。あまざかるひなの生れながら、姿は名高き富士の俤に通ひて、片山里に朽はてん身をうき物にや思ひそみけん、


「鼻箴」
たとへ百年のつくも髪だに鼻ばかりは欠けもやらず、つぶれて用をかく事もなし。ひとり常盤の操を守りて時しらぬ山とも称すべけむ。