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吉野義子

二日富士あたらしき雪重ね被て

宙に浮く富士の痩身枯月夜

大年の宙にあひあふ月と富士

除夜零時星二つ連れ月の富士

月光の富士をたまひて村眠る

初晴や凍湖平らに富士に侍す

町の路地富士へひらけてさくらの芽

暁の富士瓜刻む音藁屋より

富士を截る一枝平らに朝桜

夕桜一樹もて富士覆ひけり

さくら一枝くぐりて富士へ一歩寄る

一片の雲をゆるさず花と富士

碧天に雪富士いまだ湖覚めず