« 炭太祇(たんたいぎ) | メインページへ | 鳥居ひろし »

景戒

「日本現報善悪霊異記(日本霊異記)」
天皇敕之、遣使捉之。猶因驗力、輙不所捕。故捉其母。優婆塞令免母故、出來見捕。即流之伊圖之嶋。于時、身浮海上、走如履陸。體踞萬丈。飛如■鳳。晝隨皇命、居嶋而行。夜往駿河、富岻嶺而修。然庶宥斧鉞之誅、近朝之邊、故伏殺劍之刃、上富岻也。見放斯嶼而憂吟之間、至于三年矣。於是乘慈之音、以大寶元年■次辛丑正月、近天朝之邊、遂作仙飛天也。

(書き下し)
天皇勅して、使を遣りて捉らせたまふ。なほ験力に因りて、輒く捕られず。故に其の母を捉る。すなはち伊図の嶋に流す。時に身は海の上に浮び、走くことが陸が履くが如し。体は万丈に踞り、飛ぶこととぶ鳳の如し。昼は皇の命に随ひて嶋に居て行ひ、夜は駿河の富岻嶺に往きて修ふ。然うして庶はくは斧鉞の誅を宥され天朝の辺に近かむことをねがひて、故に殺る剣の刃に伏ひて、富岻の表を上る。「斯の輿に放たれて憂へ吟ふ問、三年に至る。是に慈の旨を垂れたまへ」とまうす。


景戒について