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久保田万太郎

夕富士のいろの寒さとなりにけり

ゆく秋の不二に雲なき日なりけり

かまくらの不二つまらなき二日かな

ゆく年の不二みよと也瑞泉寺

不二に雲かゝりて霜の消えにけり

ゆく春や客にみせたき不二みえず

夕みぞれいつもは不二のみゆるみち

桑畑へ不二の尾きゆる寒さかな

雲かぶる不二におどろく二月かな

はや梅雨の曇りの不二をかくしけり

日ざかりや不二をみせじと雲の波