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山口素堂(信章)

晴る夜の江戸より近し霧の不二

唐土に富士あらばけふの月もみよ

その富士や五月晦日二里の旅

天の原よし原不二の中行く時雨かな

天の原不二をひとくち茄子哉

不二筑波二夜の月を一夜かな

蓮世界翠の不二を沈むらむ

富士山や遠近人の汗拭ひ

富士山やかのこ白むく土用干

富士は扇汗は清見が關なれや

六月やおはり初物ふじの雪

鴨の巣や富士にかけたる諏訪の池

角帽子雪にしぼむか不二詣

むさしのやふじのね鹿のねさて虫の音

富士の嶺頂く雪を剃りこぼし