長岡雲海(長岡護美)
「登嶽五首」
海上風来散紫煙
羽人導我至崇巓
仙遊不必騎黄鶴
手把芙蓉嘯碧天
※海上 風来りて紫煙を散ず
※羽人 我を導きて崇巓(すうてん)に至る
※仙遊 必ずしも黄鶴(こうかく)に騎(の)らず
※手は芙蓉を把(と)り 碧天に嘯(うそぶ)く
風雲一擧宿仙壇
孰與鯤鵬九萬摶
欲渡銀河朝上帝
天雞破曉曉霜寒
※風雲一擧 仙壇に宿す
※鯤鵬(こんぽう)九萬の摶(たん)と孰(いず)れぞや
※銀河を渡りて上帝に朝(ちょう)さんと欲すれば
※天雞 曉を破り 曉霜寒し
五更獨歩逼天宮
絶頂振衣萬里風
六十餘州人未起
燭龍遙躍大瀛中
※五更 獨(ひとり)歩みて天宮に逼(せま)る
※絶頂 衣を振う 萬里の風
※六十餘州 人未だ起きず
※燭龍(しょくりゅう) 遙かに躍る 大瀛(たいえい)の中(うち)
萬丈芙蓉插九天
曉看海日到吟邊
仙童巳去雲初散
人在金鼇背上眠
※萬丈の芙蓉 九天に插(さしはさ)む
※曉(あかつき)に看る 海日の吟邊(ぎんべん)に到るを
※仙童已(すで)に去り 雲初めて散じ
※人は金鼇(きんごう)背上に在りて眠る
決眥東溟萬里潮
絶巓停杖立靑霄
蜻蜓洲上緒山伏
靺鞨國邊羣嶺朝
※眥(まなじり)を決す 東溟萬里の潮
※絶巓(ぜってん) 杖を停(とど)めて 靑霄に立つ
※蜻蜓(せいてい)洲上 緒山伏(ふく)し
※靺鞨(まつかつ)國邊 羣嶺朝す