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大岡信

「産卵せよ富士」より
さへぎるものない
火の矢となって
富士の子宮を灼きにくる
かの太陽の精子の流れよ
プロメテウスは立ち去ったが
役の行者は今も健在
夜ごと夜ごと彼は走る
猿(ましら)のごとく 飛ぶごとく
馬の背」の 「剣ケ峯」の
深さ二百メートルの火口壁で
行者は叫ぶ 鷲と風を