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木下杢太郎

「少年の死」
かう云ふ懊惱(あうなう)が富之助を痩せさせる間に、三日經ち五日經つた。
船に一杯の石油を積み、それに爆發物を載せて、夜の海上に船を爆發させ、それと共に死なうなどと空想したこともあつた。
或は富士の人穴のやうな誰も知らない洞の奧に這入つて、死後も人に見付からないやうに死なうかとも考へた。