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薄田淳介(薄田泣菫)

 「筑波紫」
夜は明けぬ。二の新代の朝ぼらけ、
国の兄姫の長すがた、富士こそ問へれ、
しろがねの被衣も揺に、『やよ筑波、
八十伴の緒は玉ぶちの冕冠も高に、
天の宮御垣は守るに、いかなれば、
異よそほひの東人と、汝やはひとり、
玉敷の御蔭の庭も見ず久に、
下なる国の暗谷につくばひ居るや。』

※「白羊宮」に収録