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万葉集

天地の別れし時ゆ 神さびて 高く貴き駿河なる 富士の高嶺を 天の原 振り放け見れば渡る日の 影も隠らひ照る月の 光も見えず 白雲も い行きはばかり 時じくぞ 雪は降りける 語り継ぎ 言ひ継ぎ行かむ 富士の高嶺

田子の浦ゆ うち出でて見れば 真白にぞ 富士の高嶺に 雪は降りける

なまよみの甲斐の国 うち寄する駿河の国と こちごちの国のみ中ゆ 出で立てる 富士の高嶺は 天雲もい行きはばかり 飛ぶ鳥も飛びも上らず 燃ゆる火を雪もち消ち 降る雪を火もち消ちつつ 言ひも得ず 名付けも知らず くすしくも います神かも せの海と名付けてあるも その山のつつめる海ぞ 富士川と人の渡るも その山の水のたぎちぞ 日の本の 大和の国の鎮めとも います神かも 宝ともなれる山かも 駿河なる富士の高嶺は 見れど飽かぬかも

富士の嶺に 降り置く雪は 六月の 十五日に消ぬれば その夜降りけり

富士の嶺を 高み畏み 天雲も い行きはばかり たなびくものを

我妹子に 逢ふよしをなみ 駿河なる 富士の高嶺の 燃えつつかあらむ

妹が名も 我が名も立たば 惜しみこそ 富士の高嶺の 燃えつつわたれ

天の原 富士の柴山 この暗の 時ゆつりなば 逢はずかもあらむ

富士の嶺の いや遠長き 山道をも 妹がりとへば けによばず来ぬ

霞居る 富士の山びに 我が来なば いづち向きてか 妹が嘆かむ

さ寝らくは 玉の緒ばかり 恋ふらくは 富士の高嶺の 鳴沢のごと

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8月27日登って来ました。

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