作者不詳「曾我兄弟」
「曾我兄弟」
○富士の裾野の 夜はふけて
宴のどよみ 静まりぬ
屋形屋形の 灯は消えて
あやめも分かぬ 五月やみ
○「来れ時致(ときむね) 今宵こそ
十八年の 恨みをば」
「いでや兄上 今宵こそ
ただ一撃(ひとうち)に 敵(かたき)をば」
○共に松明(たいまつ) 振りかざし
目ざす屋形に 討ち入れば
かたき工藤は 酔い臥(ふ)して
前後も知らぬ 高鼾(たかいびき)
○「起きよ 祐経(すけつね) 父の仇(あだ)
十郎五郎 見参」と
枕を蹴って おどろかし
起きんとするを はたと斬る
○仇は報いぬ 今はとて
「出合え出合え」と 呼ばわれば
折しも小雨 降りいでて
空にも名のる ほととぎす
※作詞不詳/作曲不詳/文部省唱歌