下村莢
「月下懐郷」
○照らすか月影 三国一の
富士より落ち来る 清水のながれ
清水に米(よね)とぐ わがふるさとを
○恋しやふるさと 思へば今も
かすかにひびくよ やさしき母の
みひざに眠りし むかしの歌の
○針の手休めて 同じき月に
この身やおぼさん 老いたる母は
みそばにはべりて 糸くる姉と
○照らすか月影 父ます塚を
思えば身にしむ おさなきなれが
行く末いかにの いまはのみこと
○打ちつれ 鳴きつれ 雁こそ渡れ
いずこの山越え 里越え来しか
はや影かすかに 月ただふけぬ
※下村莢作詞/ドイツ民謡
※明治の唱歌