川柳2
富士の山三宿り程はついて行き
三島女郎三国一の化粧水
動かざる富士道連れに二タ日ほど
水に木の葉も浮き島の富士颪
左富士しばらく首を矯(た)め直し
真ッ白な名歌を赤い人がよみ
田子の浦白きをほめる赤い人
赤人の歌白いのを百へ入れ
富士の歌山の辺りの人が読み
富士山を地引きにかける田子の浦
富士山の上を漕ぎ行く田子の浦
田子の浦船頭山の上を漕ぎ
凪の日は富士に網打つ田子の浦
沖釣りのいくらか富士に餌を取られ
瀬の早きことも三州一の川
墓水に富士一つづつ清見寺
富士もう薄く清見寺夕勤め
清見寺目馴れて低き富士の峯
御一生富士を間近に御上覧
富士と釣り合って大きな御器
隠密を富士のふもとで局いい
富士を見無くして力の落ちる旅
鎌倉を丸明きにして富士を狩り
勝れたる頭は富士に勢子を入れ
兄弟のほまれ三国一の場所
兄弟は富士を枕にするつもり
富士の裾貧乏神の社あり
人穴に猪武者を乗り込ませ
人穴も名所となって入りもせず
柱の九合目富士講の日掛箱
先達はきめゃうちゃうらいばかり云う
先達の棒を集めて宿をとり
路銀まで山割りにする富士道者
富士道者友を集める笠印
江戸の富士裾野は茄子の名所なり
駒込は一富士二鷹三茄子
駒込の富士は二三も一トところ
いい天気高田へ富士が二ッ見へ
富士山は穴八幡に遠からず
浅草の不二も裾野に升目あり