« 川田順 | メインページへ | 岡稻里 »

吉野秀雄

此岡の梅よはや咲け真向ひに神さひそゝる富士の挿頭

夏富士に消のこる雪はいたゝきの斑三すちと細りけらしも

麓雲なゝめに曳きて富士の嶺の重たく西に傾けり見ゆ

天の門に暁うこきいちはやく富士のしら雪朱を流せり

きさらぎの浅葱の空に白雪を天垂らしたり富士の高嶺

御社(おやしろ)の華表(とりゐ)の前にふりさけて立春大吉富士は雲なし

富士が嶺は奇(くし)びの山か低山(ひきやま)の暮れ入る時を赤富士と燃ゆ