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「本州横断 癇癪徒歩旅行」 あすここそ頂上に相違ないと、余りの嬉しさに周章(あわ)てたものか、吾輩は巌角(いわかど)から足踏み滑らして十分(したたか)に向脛(むこうずね)を打った。痛い痛いと脛を撫でつつ漸くそこに達し、拝殿にも上らず、直ちにその後(うしろ)の丘の上に駆け上ると、ここぞ海抜三千三百三十三尺、高さからいえば富士山の三分の一位のものであるが、人跡余り到らぬ常州第一の深山八溝山の絶頂である。
投稿者: Owner 日時: 2006年01月25日 21:52 | この内容のURL