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川柳1

大変なことは孝霊五年なり

孝霊五年あれを見ろあれを見ろ

孝霊五仰むくものに覗くもの

ヤレ起きろ山が出来たと騒ぐなり

明くる朝不思議に思う波の音

湖になったで山があがるなり

サァサァ江州と駿州の次第

富士の絵図諸国で売れる孝霊五

絵に写しこの山昨夜と奏聞し

寝耳に水の奏聞を近江する

奏聞に近江が済むと駿河出る

二度の奏聞寝耳へ水の音

富士山は下手が書いても富士と見え

山の図に扇を開き奏聞し

孝霊に近江の年貢皆無なり

二ヶ国の貢は許す孝霊五

孝霊の前は名のなき明日見村

孝霊五無精でなくばすぐ見村

三国一の無精者明日見よう

仰向いて嘘だ嘘だと明日見村

惜しい事末代見えぬ明日見村

鹿を追う猟師のような明日見村

実語教富士と布袋をそしるよう

相撲取り子には教えぬ実語教

富士を見ぬ奴が作りし実語教

実語教孝霊五より前の作

実語教孝霊前の作ならん

目出度さは此の上もなき富士の夢

心地良さ夜舟で春の富士を見る

有り難さ枕を高く富士の夢

日本の夢は一夜に湧いて出る

孝霊の以前は美女も丸顔

富士山を額に書いたいい女

美しさ富士の麓は柳なり

美しい富士三日月が二ッ出る

湯上がりの富士の額に煙り立つ

和らかな国にむっくり芙蓉峯

近江から一夜に咲いた芙蓉峯

時知らぬ娘は何時も二十なり

お富士様幾つ十三七ツなり

業平に二十くらいと姫見られ

同い年何時でも若い月と富士

十三七ツ未だ年は若い富士

面影も変わらず今に二十なり

不老不死保って今に二十山

面影の変わらで年の二十山

なま長い御名は此花開耶姫

本名は開耶姫にて御富士様

開耶姫俗名御富士様といい

開耶姫三国一の富士額

開耶姫夏珍しき薄化粧

秋風に白粉をする開耶姫

げっそりと夏やせをする開耶姫

一合の事で天まで届きかね

平地だと榎を九本植えるとこ

天と地の間を九里余も登るなり

時知らぬ山を尋ねて徐福来る

表舵にに富士へ引き向け徐福乗る

琵琶よりも富士は異国へ響くなり

大きな湖水山のつん抜けた跡

抜けがらも三国一の水たまり

跡は野と成らず大きな湖となり

近江者うぬがのように富士をいい

竹生島だけが一合不足なり

駿河へは九引きて近江一残り

富士島と言うべきとこを竹生島

三国の二を宝永に産み落し

宝永の頃降りものが壱つ増え

年寄りが寄ると話に砂が降り

新造に砂の降ったる物語り

山一つ十文銭とおない年

此の山で銭を鋳たかと道者聞き

町々の西をば富士でおっぷさぎ

快晴さ富士の裾野に江戸の町

日本一を二つ見る日本橋

越後屋の春正面に富士を見せ

大きな見世のひあわいで富士が見え