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高村光雲

「幕末維新懐古談〜熊手を拵えて売ったはなし〜」
その頃は、もう、ぞろぞろと浅草一帯は酉の市の帰りの客で賑わい、大きな熊手を担いだ仕事師の連中が其所(そこ)らの飲食店へ這入って、熊手を店先に立て掛け上がったりしている。何処の店も、大小料理店いずれも繁昌で、夜透(よどお)しであった。前にいい落したが、その頃小料理屋で、駒形に初富士とか、茶漬屋で曙などいった店があってこんな時に客を呼んでいた。